illust + lettering:岸かなこ sentence:小菅由美子
ライブハウス展示 @川越市「寺小屋」 2001.6.6




土星人の眠りは深く長い 目覚めの悪さでは宇宙一と言われている 土星じゅうの土星人がいっせいに目覚めるから 押し合いへし合いの錯乱状態に陥る お隣の木星から見るとまるで宇宙戦争が勃発したかのような騒ぎ 太陽を2周ほどするころやっと秩序を取り戻し マルがゆっくり回り始める



つまり彼らの思考が働き始める 彼らの日常 不思議な悩み ある土星人の心の渦巻き この緑色の皮膚は何でできているのか 自分たちは大きいほうなのか小さいほうなのか 手も使って四つん這いに歩くべきなのか 他にも世界には生き物があるのだろうか ぐるぐるぐるぐる…… 土星人の数だけマルの形



コミュニケーションの仕方を知らない マルの形に似た生き方それぞれ こんこんと湧き出る疑問は尽きることがなく 解決もしない 火星人の血が赤いと知った土星人 青い皮膚から滴る赤い血! 緑色の血が緑色の皮膚を作っているという当たり前 自分の体を切り刻む痛み 土星人失格 強いのも弱いのもまっすぐにもまがりくねってもでんぱ



形が変化する土星人 発信と受信 長く続いた受信が乱れ消滅 自分の分身 余韻にひたりながら同じ乱れに冒される土星人 自分のマルに合う 回す速さと磨き方 他の土星人のマルが見えない 他人のマル見て我がマル直せ ができれば土星人生も明るいんだが やるしかない だ円形やくにゃくにゃ コンパスで書いたように律儀で正確な形 羽が欲しい 鱗が欲しい あるいは……



火星を見た土星人の実在 土星を見た土星人の不在 緑色の内側にあるもの 3光年溜めた細胞がひと晩で分裂する 快感はものすごい その美しさを誇る ひと晩で何度も分裂して小さくなりすぎたオマセ 恥ずかしくて人には言えないものだ やけになればヌメりもする



ある流しの土星人の証言 何を流すかって ビーミングに決まってんだろ 泣きのビーミングはおいらの財産さ まっすぐにそして切なく エメラルド色の涙がこぼれるぜ だれにも届かない周波数があるのも世の常